6月4日（水）
山田風太郎『半身棺桶』（徳間文庫）をパラパラと繙く。華麗な文体の本業の小説と 比べて、どういう訳か、山田風太郎の随筆の何と下手なことか！力が入っていなく て、スカスカだ。若い頃に書いた戦時中の日記が素晴らしかったのは、太平洋戦争と いう苛酷な環境のせいだったのか。

6月8日（土）
６月７日、８日と２日間、スーパー源氏の「第２次システム構築」のため、登録も注 文も出来ない。

6月9日（日）
ワールド・カップは、いよいよロシアとの決戦。やった、１対０で勝った！ワールド ・カップで初めての勝利。これで日本は決勝トーナメントに行けるぞ。不景気でガッ クリ来ている全日本人よ、元気出して立ち上がれ！

6月11日（火）
徳富蘇峰『近世日本国民史　織田信長』（講談社学術文庫）が売れた。蘇峰の「近世 日本国民史」は講談社学術文庫版が市場に少ないせいもあって、あまり沢山は出ない が、確実に売れて行く。この膨大な「近世日本国民史」シリーズは、あまたの歴史小 説の種本という噂が高い。同じ蘇峰の『静思余禄』（講談社学術文庫）を自分で読も うと思っている。市場にあまりない本だから、「登録」すれば確実に売れるだろう が、登録は自分が読了してからにしたい。また、この頃「探求書」が自分の蔵書にあ るのを時々見かけるが、開店当初と違って、今は自分が読みたい本はすぐに売りたく ない。古本屋としては困ったものだ。

6月12日（水）
仕入れた本の中に古い「100円札」を見つけた。幸運の女神はイクサ上手の「板垣退 助」、官軍の大将。これをツキにして、ワールド・カップも、古本商売も、両方とも 決勝トーナメント進出だ！

6月13日（木）
強豪のフランスもアルゼンチンも、結局決勝トーナメントに出場できなくなった。そ の位、日本の決勝トーナメント出場には価値があるのだ。それを決定する明日のチュ ニジア戦は日本中の注目の的だ。「探求書」でショーペンハウアーの作品を探してい る人がいた。実はその本を持っているが、自分でもタマには哲学書を手にとって読ん でみたいと思っていたので、手放すことはやめる。

6月14日（金）
チュニジア戦が午後３時半開始のため、早めに店じまい。お客様には申し訳ないが、 発送は明日になる。日本勝った！新しい歴史が始まる。報道によると、山田風太郎の 昭和２１年の日記が見付かったとのこと。雑誌にでも発表されたら、読んでみたい。 昭和２０年以前の日記はすでに出版されている。前に読んだ昭和２０年の『戦中派不 戦日記』（講談社文庫）を出してみたら、全頁にわたって線が引かれ、私としては珍 しくよく読みこんでいる。もう一度読んでみよう。